どうも、斤量差が大きいハンデ戦の予想が苦手なタケツム (@taketsumu_keiba) です。
競馬のレースは年齢や斤量によって以下4つの区分に分かれています。
- 馬齢重量戦
- 定量戦
- 別定戦
- ハンデ戦
この記事ではそれぞれのレース条件にどんな違いがあるのか詳しく解説します。
タケツム
タケツム
ダート短距離専門家。2022年4月にJRAのダート1400m以下のレース予想に特化した『ダート短距離の教科書』を出版。Amazonレビュー4.1。2023年の回収率は111%。馬券は単勝のみ。X(旧Twitter)もやっています。
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1:馬齢重量戦
馬齢重量戦とは “馬の性別と年齢のみで負担重量を決めるレース” のことです。
年齢 | 2歳 | 3歳 | ||
---|---|---|---|---|
時期 | 1~9月 | 10~12月 | 1~9月 | 10~12月 |
牡セン | 54kg | 55kg | 56kg | 57kg |
牝 | 54kg | 54kg | 54kg | 55kg |
現在では2歳戦と3歳限定戦のみで実施されていて、古馬戦に馬齢重量戦は存在しません。(古馬戦では次項の “定量戦” がほぼ同義)
ちなみに、時期によって牡牝の斤量の差が違うのは、サラブレッドの成長力の差(若年期は牝馬のほうが成長が早い)が理由です。
2:定量戦
次に、定量戦とは “馬の性別と年齢のみで負担重量を決めるレース” のことです。
基本的には3歳以上・4歳以上などの混合レースにおける馬齢重量戦と考えればOK。
5歳以上の牡馬57kg、牝馬55kgを基準としてレースの実施時期と距離によって4歳以下の出走馬の馬体重が決められています。
実際に3歳以上の混合レースが実施されるのは早くて6月くらいからなので、3歳牡馬が40kg台で出走してくるレースというのはありません。
馬齢重量戦と定量戦の違い
どちらも馬の性別と年齢のみで負担重量を決めるならまとめて馬齢重量戦でよいのではと思いますが、両者には明確な違いがあります。
それは馬齢重量戦がすべてのレースで斤量が一定なのに対し、定量戦はレースごとに斤量を決めることができるという違いになります。
たとえば、毎年6月に実施される安田記念や宝塚記念など3歳馬と古馬が出走するレース。
もし馬齢重量戦のルールに従うと3歳馬は牡馬56kg、牝馬54kgの負担重量になるはずですが、実際には3歳馬は性別問わず54kgになります。
また、オークスやダービーは3歳限定レースですが、伝統的に牡馬57kg、牝馬55kgの斤量で、馬齢重量戦ではなく定量戦に区分されます。
このようにレースごとに負担重量を決めることができ、古馬混合G1などにおいては主に3歳馬への優遇策がとれる点が定量戦の特徴です。
タケツム
3:別定戦
別定戦とは “レースごとに負担重量を決定する基準が設けられているレース” のことです。
具体的には、定量戦の箇所で解説した馬の性別と年齢で定められる基準重量に加え、出走予定馬の獲得賞金や勝利数、獲得タイトルなどの条件によって負担重量が増減します。
斤量を定める条件の違いによって「賞金別定」「グレード別定」などと記載します。
ちなみに、定量戦は馬の性別と年齢のみで負担重量が変わり、そこからの増減はありませんが、レースごとに負担重量を決定するという点で広義では別定戦の一種に分類されます。
4:ハンデ戦
ハンデ戦とは “すべての競走馬に勝つチャンスが与えられるように人間によって意図的に斤量が調整されたレース” のことです。
正確には、JRAのハンデキャップ作成委員の人たちが、出走予定馬の実績や最近の状態などを考慮し、各競走馬の負担重量を決めています。
出馬表を見ると、斤量57.5kgのように0.5kg単位の斤量になっている場合があるのが特徴です。
別定戦とハンデ戦の違い
別定戦はハンデ条件を機械的に決めているのに対し、ハンデ戦は人手で斤量を決めています。
レース区分ごとの年間レース数
斤量によるレース区分ごとの年間レース数をクラス別にまとめてみました。※障害レース除く
馬齢戦 | 馬齢戦 | 重量戦 | 別定戦 | ハンデ戦 | 計 |
---|---|---|---|---|---|
重賞 | 31 | 23 | 59 | 27 | 140 |
OP | 4 | 0 | 121 | 37 | 162 |
3勝 | 0 | 138 | 0 | 77 | 215 |
2勝 | 0 | 424 | 0 | 56 | 480 |
1勝 | 160 | 766 | 0 | 0 | 926 |
未勝利 | 1160 | 0 | 0 | 0 | 1160 |
新馬 | 297 | 0 | 0 | 0 | 297 |
計 | 1652 | 1351 | 180 | 197 | 3380 |
馬齢重量戦
馬齢と性別のみで斤量が決まる
2歳・3歳限定レースのみ
定量戦
馬齢と性別のみ斤量が決まる
3歳以上・4歳以上レースで実施
3歳限定G1の一部も含まれる
別定戦
獲得賞金や獲得タイトルで斤量が決まる
ハンデは機械的に決める
ハンデ戦
全馬にチャンスがあるように斤量を決める
ハンデは人が決める
斤量によるレース結果への影響とは?
あなたが誰かを背負って走ることを想像するとわかりやすいですが、もちろん斤量は軽いほうが速く走れる可能性は高いです。
では、実際に競馬における斤量の差はレース結果にどれくらいの差を及ぼすのでしょうか。
有名なのは「斤量1kg=タイム約0.2秒=着差約1馬身」の差を生むという説です。
競馬ではハナ差やクビ差、半馬身差という決着も多いので、斤量1kgで1馬身もの差が出るというのはハンデとしては大きいですよね。
馬齢重量戦・定量戦での斤量差は小さい
牝馬の-2kgや見習騎手の減量はもともとがマイナス要素なので、斤量差が軽いほど回収率が良くなるという期待はしにくいです。
実際、過去3年におけるハンデ戦を除いたレースの斤量ごとの成績を見てみても勝率・単勝回収率ともに大きな傾向はみられません。
斤量 | 出走頭数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
---|---|---|---|---|---|---|
~49kg | 296 | 9.1% | 15.2% | 23.6% | 90 | 81 |
49.5~51kg | 5242 | 4.4% | 9.5% | 13.8% | 61 | 59 |
51.5~53kg | 13841 | 6.6% | 12.8% | 19.5% | 63 | 69 |
53.5~55kg | 63110 | 7.4% | 14.6% | 22.1% | 71 | 72 |
55.5~57kg | 47106 | 7.5% | 15.2% | 22.6% | 76 | 75 |
57.5~59kg | 1496 | 5.7% | 11.4% | 19.3% | 67 | 79 |
59.5~ | 3448 | 9.5% | 18.8% | 27.3% | 76 | 77 |
ハンデ戦での斤量差は大きい
一方、ハンデ戦に関してはすべての馬が1着になるチャンスがあるように設計されているだけあって、斤量が軽い馬の期待値は高いです。
実際、斤量が軽い(能力比較では弱い)馬のほうが勝率は低いものの、馬券で見たときの単勝回収率は高くなっていることがわかります。
斤量 | 出走頭数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
---|---|---|---|---|---|---|
~49kg | 29 | 0.0% | 0.0% | 3.4% | 0 | 5 |
49.5~51kg | 528 | 5.1% | 8.7% | 12.3% | 140 | 84 |
51.5~53kg | 2433 | 5.4% | 11.3% | 16.8% | 95 | 79 |
53.5~55kg | 4204 | 7.3% | 14.5% | 22.2% | 96 | 89 |
55.5~57kg | 1306 | 9.3% | 18.2% | 26.6% | 67 | 72 |
57.5~59kg | 93 | 12.9% | 23.7% | 33.3% | 65 | 83 |
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私もダート短距離特化で予想を始めたときは情報が少なく、独学で手探り状態でした。
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ダート短距離の知識がゼロの人が読む前提で、超初心者でもわかるよう丁寧に解説しました。
本書を読めば、ダート短距離に関する「脚質」「馬場状態」「枠順」「性別」「馬体重」「斤量」などの基本的な考え方がわかります。
たとえば、ダート短距離では勝ち馬の7割が第4角を5番手以内に回った先行馬になります。
先行馬有利は競馬の鉄則ですが、直線が短く芝よりスピードが出ないダート短距離では、より逃げ馬や先行馬に注意して予想せねばなりません。
ほかにも、ダート短距離ではOPクラス昇級初戦の馬の勝率が非常に低いという特徴があります。
実際、2022年に昇級初戦で1〜3番人気に推された15頭のうち1着になったのはわずか1頭でした。
これはダート短距離が高齢まで走る馬が多いうえに重賞が少なく芝よりOPのレベルが高いことが原因ですが、知らないと罠にハマってしまいます。
こんなふうにダート短距離にはダート短距離だけの特長が存在します。上記のポイントを踏まえて予想するだけでも変わると思いませんか?
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>2023年1月7日
上記が更新日になってるけど、情報が間違ってるよ。
現在、定量は 牡58kg、牝56kgだよ(^^)